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2025/03/17 09:37 |
GOSICK
職場が、オタクの巣窟です。
30歳以下のスタッフは、85%くらいがオタクです。
というか、身近でニコニコ生放送をやってる人、初めて見たよ!(珍獣を見るような目で

そんな環境を活かして、自分で買うにはためらうけど興味はあった最近のラノベを借りてみるキャンペーン中です。
ただいま借りているのは、こちら。
・GOSICK/桜庭一樹/富士見ミステリー文庫
いきなり最近の作品じゃない件。
いやこのひと、調べてみてびっくりしましたが、デビューはずいぶん昔なんですね。
あまり読まないフィールドの人だったせいか、直木賞のときに初めて名前を意識したのでてっきり最近の人かと思ってました。
というか別名義でライターさんやってたゲームが、かの名作でびっくりです。

で、このGOSICKですが、大変に面白かったです。まだ3巻までしか読んでませんが。
第一次世界大戦後の架空のヨーロッパの小国を舞台に、貴族向けの全寮制学校の図書館最上階の植物園にいつも居る、陶器人形のように小さな美少女ヴィクトリカ(だけど声は老人のようなしわがれ声)と、日本からの留学生で生真面目な軍人一家の三男坊の久城一弥少年が、謎の事件に巻き込まれたり首を突っ込んだりしながら謎を解いたり解かなかったり(いや解くけど)するミステリ仕立ての基本ストーリー。
舞台装置が怪談や都市伝説をモチーフにしていたりして、非常にオカルト的な匂い漂っていて、胡散臭くて大変に良いです(褒め言葉
やっぱり、怪しげな舞台装置は、ミステリに欠かせないと思うんです。
その割りに事件の骨組みだとかディティールは、さすがにしっかりしていて、危なげないのがまた素敵。
イラストは萌え絵ですが、萌え萌えしていないのがいいです。
本屋で見かけた、イラスト無しの新装版の表紙がちょっと小粋で、うっかり買いそうになったのは余談です。
ポジション的に安楽椅子探偵っぽい立ち位置(事件現場に居たりはするけど)のヴィクトリカの、テンションの低さもまた良し。
そしてなにより、ヴィクトリカが昼間ずっといる学校図書館の建物が、非常に私好みだったところが、とても高評価(笑
四角い筒型の建物で、内側の壁面は全部本棚。見上げた先の高い天井には宗教画。その間を縫うように細い階段が迷路状に行き交っていて、足がだるーくなるほどのその道のりを踏破した最上階には、秘密の植物園。
なにげにエレベータ完備なところがまたポイントが高いです(笑
自分の家に図書館が欲しい、むしろ図書館の中に寝床があればいい、図書館に住みたい身としては、そんな描写にもニヤニヤして、違う楽しみ方ができます。
難しく人生や社会について考えたくない、気楽なエンターテイメントを読みたい。でもテンション高すぎや荒唐無稽なのはちょっと…という微妙にニッチな欲求を満たしてくれる佳作でございました。
来年アニメ化だそうですが、ちょっと楽しみです。
ヴィクトリカの配役はまだ公開されてないそうですが、さてどうなることやら。
個人的には、是非ともしゃがれ声を忠実に再現して欲しいところです。非常にシュールなことになりそうですが。

その収穫にいい気になって、桜庭さんの一般文芸への転進のきっかけとなったそうな「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」が、何故か我が家にあります。
およそ二食分の食費が…!
これは…問題作として話題になったそうですが、確かにそうだ。
よくもまあ、ラノベレーベルから初出したもんだ。いいぞ出版社、もっとやれ。
GOSICKとは打って変わって、ふたりの「少女」の物語ですが、他の作品の概要を見るに、こちらの方が作者さん本来の毛色なのかしら。
どことなく、山田詠美さんの「蝶々の纏足・風葬の教室」を思い出したのですが、あちらの少女たちは「女」の前段階、というニュアンスが色濃かったのに対して、こちらはただひたすらに「女」でも「子供」でもない「少女」が描写されている気がします。
これを10代で読んだら、なんて思っただろうなあ。楽しめただろうか。
物語ラストの、サバイバーという言葉の使い方が好きです。
文体がかなり独特なので(新井素子さんレベルの独特さだと思うんだ)好き嫌いは分かれるかもしれないけれど、砂糖菓子の弾丸と実弾という対比だとかその発想や言語センスに、しびれる素敵な作家さんでした。
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2010/12/24 00:58 | Comments(0) | TrackBack() | 本のハナシ

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